【視座の科学】「優秀なのに満たされない」人が、人生の物足りなさを突破する「脳のレンズ」の合わせ方

STEP1: 自己理解

イギリス・レスターに移住して約9年。3歳の娘の子育てにドタバタと奮闘しながらも、1日4時間だけ自分の強みと好きな仕事に集中する「好き4」というライフスタイルを実践しています。井元りゅうたろうです。

これまで多くのフリーランスや経営者の方のキャリア支援を行ってきましたが、その中には非常に優秀で、すでに一定の成果を出しているのにもかかわらず、深い「物足りなさ」や「消化不良の退屈」を抱えている方が少なくありません。

「仕事も順調で、周りからも恵まれていると言われる。それなのに、なぜか毎日が同じことの繰り返しのように感じられてワクワクしない……」

もしあなたもそうなら、がむしゃらに努力を重ねたり、現状に感謝できない自分を責めたりする必要はありません。あなたが満たされないのは、やる気や熱意の問題ではなく、脳の「予測モデル」が日常を自動化してしまったか、今の自分に合わない「古いレンズ」のまま世界を見ているからです。

今回は、かつて総合商社で数千億円規模の国家プロジェクトを動かした経験を持ちながら、自身の進むべき道に「もどかしさ」を感じていた受講生のわかちゃんとのセッション事例を通じて、脳のレンズを調整し、人生の物足りなさを突破する仕組みをお話しします。

1. なぜこれまでのやり方が「退屈」に変わるのか(前頭前野の省エネ機構)

人間は、同じ役割や同じやり方を長く続けていると、脳の中で「自動化」が起こります。これは、脳の司令塔である前頭前野(ぜんとうぜんや)が、無駄なエネルギーを消費しないようにするための防御システムです。脳が緊急停止ブレーキを踏んでいるわけではなく、脳のリソースを保護するために「いつもの予測パターン」で現実を処理しているのです。

しかし、この自動化が進むと、脳にとって世界は「予測可能で退屈なもの」になってしまいます。これが、暇つぶしの退屈とは異なる、何かを突き詰めてきた成熟した人が陥る「燃え尽き」や「消化不良の退屈」の正体です。かつて自分を奮い立たせてくれた目標ややり方が、いつの間にか脳の省エネ運転によって、刺激を失ってしまっているのです。

以前、勉強ばかりしてきた人へ。本当にやりたいことを見つける「バナナ虫の匂い」の話でも紹介しましたが、自分の得意なことや知識に頼るばかりで、新しい視点を獲得しないままだと、どれだけ知識を蓄えても「頭打ち」になってしまいます。

2. 脳のレンズを調整し、世界を再定義する(内部モデルと側坐核)

では、どうすればこの物足りなさから抜け出せるのでしょうか? その鍵は、脳が持つ内部モデル(現実を捉えるレンズ)をアップデートすることにあります。内部モデルが新しくなると、脳のやる気スイッチである側坐核(そくざかく)が活性化し、ドーパミンが放出されて、再び新鮮なワクワク感が戻ってくるのです。

イメージするなら、暗闇の深海を照らす「懐中電灯」です。私たちは普段、その懐中電灯が照らしている狭い範囲(=自分の今の視点)だけが世界のすべてだと思い込んでいます。しかし、少しだけ懐中電灯を照らす角度(=レンズ)を変えてみるだけで、そこにはずっと眠っていた「宝箱」の頭が少しだけ見えていることに気づくのです。

裸眼で手探りしていた状態から、自分の度数に合った眼鏡をかけるだけで、世界はクリアに見え始めます。あるいは、度数が合わなくなった古い眼鏡をかけ続けて世界が歪んで見えている状態から、レンズを新しく調整するだけで、不便さやイライラは解消されるのです。

わかちゃんのように思考スピードが速すぎる人の場合、脳の回転に口頭の言語化が追いついていません。そこで僕は、物理的なアクリル板やガラスのホワイトボードに図式化(ビジュアル化)しながら話すという仕組みを提案しました。

ホワイトボードにペンで書き出すという物理的なプロセスをあえて挟むことで、強制的に思考スピードを「相手が理解できる速度」まで落とし、言語化の精度を100%まで高めることができます。これによって、頭の中のビジョンとアウトプットの時差(ギャップ)がなくなり、脳のストレスが解消され、再び側坐核が活性化してワクワク感が戻ってくるのです。

3. 日常のハプニング(遅延・ロスバゲ)を視点転換の訓練にする

さらに、脳のレンズを調整し、シザ(視座)を切り替える柔らかさを身につけるためには、日常の小さな不測の事態を訓練に変えるのが効果的です。

わかちゃんがかつてアルジェリアを旅したとき、飛行機が3〜4時間遅延することが当たり前の環境に直面しました。24時間を効率的にフル活用することに最適化されていた日本のビジネスマン時代には、許せないイライラだったはずです。しかし、「ここでは遅れるのが前提だ」と内部モデル(レンズ)を切り替えた瞬間、その想定外の時間は、自分自身と向き合う極上のクリエイティブな時間へと変わりました。

旅行先での遅延や、荷物が届かないロストバゲージ。そんな不測の事態に直面したときこそ、「この想定外をどう面白がろうか?」と脳に問いかけるチャンスです。視座を変えるだけで、退屈やイライラは一瞬で「最高に面白いゲーム」に変わります。

わかちゃんが企画している「時間リトリート」もまさにそうです。「時間は1日24時間で一律に流れる絶対的なもの」だと思い込みがちですが、銀座の時計博物館(セイコーミュージアム)に行って、かつての水時計や香時計の歴史に触れてみると、時間というものがいかに柔軟で、あってないようなものであるかに気づきます。この「シザ(視座)の転換」を他者と交差させてアハ体験(Aha!)を得ることこそが、見慣れた日常から新しい宝物を引き出すリベラルアーツ(教養)になります。

まとめ|あなたに合ったオーダーメイドのレンズを設計する

AIが急速に進化し、多くの仕事や知識がコモディティ化していくこれからの時代、僕たち人間に求められるのは、単一の専門知識ではなく、視座を自在に切り替えて現実を再定義する「越境の視点」です。

もし、あなたが今、「仕事は順調なのに何かが物足りない」「これまでのやり方に限界を感じている」と立ち止まっているなら、それは脳が次のステージへ向けてレンズを調整したがっているサインです。

僕のセッションでは、かつて受講生のわかちゃんが思考の牢獄から解放され、自身の圧倒的な熱量と言語化を統合したように、あなただけの無意識の強みを発掘し、「オーダーメイドの脳のレンズ」を設計します。

自分の人生をもう一度面白くする新しいレンズと勝ち筋を見つけるために、まずは無料キャリア相談で、あなたのこれまでのストーリーを聞かせてください。3歳の娘に物語を語りかけるように、あなたの可能性を丁寧に紐解いていきます。

神経科学 × 心理学

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